-卒業生からのご質問シリーズ-「質問がうまくできない」
以前に、現場に出られて3ヶ月ほど経過した生徒さんから、
リピーター獲得についてご相談をいただきました。
その方にご紹介したサロンは、リピーターの方には担当制で対応するので、
新人の方は基本的に新規のお客さまを担当するという方針のサロンさんでした。
その生徒さんから、
「店長から、お客さまとの会話をするために、
"質問をする"ように言われているんですが、
うまく質問できないんです」と相談を受けました。
その生徒さんを、仮にNさんとします。
Nさんにその後、お送りしたメールを、ご本人の許可を得て、
こちらに掲載します。
__以下、メールの内容です。__
Nさん
お疲れ様です。
頑張ってますね。
相談いただきありがとうございます。
質問について、リピート獲得講座の中でひとつの単元としてお伝えしています。
本当は、受講いただいてお伝えしたいのですが、お仕事を始められた現状では
なかなか難しいと思うので、どこまで伝えられるのか不安ですが、メールにて記載します。
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1.質問が接客の中でどんな役割を果たすべきなのか
2.「効果的な質問」とはどんな質問なのか
3.どうしたら、うまく質問が出来るのか
4.プラスアルファの質問上達法
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1.質問が接客の中でどんな役割を果たすべきなのか
質問することが目的になってしまっては本末転倒なので、
質問することの本質を確認しましょう。
そもそも、質問の目的は、
「①知りたい情報をうかがって、
②さらに会話を発展させ、
③お客さまにとって有益な情報を提供すること」
です。
さらに上位の目的は、
①~③のサイクルによって、信頼関係を構築することです。
ここでいう信頼関係の構築とは、
単なる ひと対ひと の信頼関係のことではなく、
「初めてのお客さま 対 セラピスト」という関係から、
『あぁ、この人のいうアドバイスは自分のためになるな』と思っていただける
ある意味「先生 対 患者さん」のような関係に発展させることを指します。
そのためには、「お客さまへの尊重と、誠意ある関心を抱いていること」が必須です。
その想いが原動力となって、自然に質問ができているセラピストの方も多くいらっしゃいます。
小松原先生や大金先生、大山先生の授業をふり返ると、
初めて体験に来られた方から、「どうしてこんな楽になるんですか」と
逆によく質問されていることを思い出してもらえるかと思います。
それは、効果のある施術ができる技術の高さも大きな理由ですが、
その場にいる誰よりも「どうしてあげたらいいんだろう」と体験者の方の
気持ちとからだに関心を抱いていることを前提として、質問を含めた会話を用いて、
短期間で「先生」として認識されるだけの関係を自然につくれているからです。
したがって、質問の果たすべき役割は、上記のような関係づくりのための手段と言えます。
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2.「効果的な質問」とはどんな質問なのか
では、「先生 対 患者さん」のような関係に発展させることを
目的とした「効果的な質問」とはどんな質問なのでしょう。
お客さまには[実は知りたいこと]というのが必ずあります。必ずです。
その知りたいことに「へぇっ」と思っていただける"解説"を行なうことが有効なわけです。
でも、質問をしてない状態では、なにを"解説"したらいいか分かりません。
だから、質問して、"解説"すべき箇所をお客さまから教えてもらう必要があります。
つまり、「解説から逆算して考えた質問」をつくることが、
「効果的な質問」づくりにつながります。
お客さまの[実はしりたいこと]というのは、だいたい次の二つに分類されます。
[症状の原因]
[セルフケアの方法]
それぞれ、具体例を挙げてみましょう。
[症状の原因]の場合、
Nさん「肩こりでお辛いとのことですが、何が原因だと思われますか?」
お客様「う~ん、普段から坐り仕事が多いからかな」
Nさん「そうですよね。腕って結構重いんですよね。
実は腕って、ここの肩甲骨に繋がっていて、肩甲骨は骨や関節で
からだの体幹部分に繋がっているわけではなくて、
主にこことここの筋肉で支えられているんですよ。
『前にならえ』の姿勢って、1分も続けることが本来は難しいのに、
パソコンとかしていると無意識に何十分も支えてしまっているので...」
[セルフケアの方法]の場合、
Nさん「肩こりにも種類があるんですが、〇〇様は、こことここでいうと、
こちらの方が張ってますが、実感ありますか?」
お客様「そうですね、そこを押してもらう方が気持ちいいです」
Nさん「そうですよね、ここが張ってる方は、□□な姿勢のクセを持つ方が多くて、
普段から、△△なことをすると予防できますよ」
客さまの「状況(症状)」や「原因」、「要望(ニーズ)」を細分化してパターン化すると、
手っ取り早く「効果的な質問」が作れます。
ここでのポイントは、以下の三つです。
・お客さまの「実は知りたいこと」に"解説"してさしあげる姿勢で考えること
・得意な"解説"をつくり、そこへ導けるように逆算して質問を考えること
・「状況(症状)」や「原因」、「要望(ニーズ)」を細分化してパターン化すること
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3.どうしたら、うまく質問が出来るのか
ここまで、「効果的な質問」について説明しましたが、
実は、質問をする前に、とても重要なポイントがあります。
それは、「お客さまが[質問に答えたくなる心構え]をつくること」です。
質問をする前に、「その質問に応えると有益な情報が得られる」と
感じてもらう必要があります。
そのためには、、ひと言でもいいので、「心構え」をつくるための
「前置き」をすることが重要になります。
「この質問をするのは、こういう理由です」
「この質問に応えていただくと、こういうことをお伝えできます」
ということをお伝えするのです。
また、質問する理由が伝わる前にいきなり質問をすると、
施術者側のエゴが前面に出てしまいます。
そうすると、お客さまの中には、「なんで答えなくてはいけないの」と、
心理的な抵抗が生まれてしまいます。
せっかくそれまで良い関係を築いても壊してしまうともったいないですよね。
前置きをすることで、「お客さまのために質問させてください」という
お客さまファーストの姿勢が伝えることができるのです。
前置きも、[原因]と[セルフケア]で使い分けましょう。
具体的には、
[原因]の場合、
「肩こりの原因はだいたい3パターンあって、それによって
どうすればよくなるかも違うんですよ。お心当たりなこと、うかがってもいいですか?」
など。
[セルフケア]の場合、
「セルフケアも、いくつかパターンがあって、ストレッチや運動が得意な方、
食事から改善される方、休息のしかたで改善される方などありますが、
〇〇様はどれが取り入れやすいか、少し伺ってもいいですか?」
など。
このように、「質問に答えたくなる」下地(心構え)をつくるために、
「質問する理由を先に伝えること」(前置き)が非常に有効です。
また、前置きをすることで、こちらの心理的にも負担無く質問がしやすくなります。
【質問のつくり方の手順(ここまでのまとめ)】
1)「お客さまを尊重し、関心を抱く」この姿勢を前提とする。
2)「お客さまがリピートした方が良い理由」を理解する
3)原因などのパターンごとに「お客さまが実は知りたいこと」を説明できるようにする
4)自然とパターンを聴きだせる質問が浮かぶ
5)前置きになることばをつくる
※ 在学中であれば、上記の2)~4)は、各手技ごとの「理解度確認レポートの提出」と
「先生からの添削」で実践し培うことができます。
※ 慣れてくると、2)~5)の順序にこだわらず、
「原因のパターン化」を学んだ・知った・思いついた段階で、
自然と質問が浮かんでくるようになります。
※ 2)~5)は一旦できたら完成では無く、常に改善していく必要があります。
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4.プラスアルファの質問上達法
1)褒める
「褒める」ことも非常に「質問に答えてくれやすくなる」良い手段です。
「褒める」こと自体で、一講座分の内容になってしまうボリュームなので、
ここでは、一つだけお伝えします。
まずは、「行動」を褒めてみましょう。
「辛いのに頑張ってるんですね」などで良いと思います。
人は、褒めてくれた相手のことを否定しづらいと言えます。
ただ、褒めるのにうまくないうちに、やり過ぎちゃうと逆効果を生むこともあるので、
まずは、「行動」に絞った方が上手な褒め方に繋がりやすいです。
褒めるということは、お客さまを尊重し、誠意のある関心を抱いていれば
自然とできていくでしょう。
2)感じている原因を訊く
すでに2.の例でも述べていることです。
本来は、施術者側が原因の解説をするのですが、その前に、
逆に「お客さまはどう考えているか(感じているか)」を訊くことで、
お客さまの気持ちも汲み取ることができ、会話をつなげやすくもなります。
3)会話が苦手そうな方には、「他の方にはこういう方が多いですけど...」を挟む
上記の「お客さまはどう考えているか(感じているか)」を訊くのは、
いわゆるオープンクエスチョンと言って、答える側が自由に幅広く答えられる訊き方なのですが、
その分、会話が苦手な方にとっては、余計なプレッシャーを産むこともあります。
「苦手そうな方だな」と感じたら、「他の方の場合は...」などを加えると、
答えていただきやすくなります。
4)"解説"の前に"共感ことば"を挟む
これも、すでに2.の例で述べてますが、
お客さまから回答を得たあとに、必ず、共感していることを伝えるために、
「そうですよね」などのことばを挟むことがとても重要です。
~最後に~
ほかにも、「傾聴」の姿勢など、お伝えしたい大切なことはあるのですが、
ひとつひとつにしますね。
また、今は、
「質問して、返って来た答えが意外なものだったらどうしよう」
「逆に質問されて答えられなかったらどうしよう」
「施術の技術が伴わなかったらどうしよう」
などの不安もあるかと思います。
そのために、小松原先生の解剖学の授業に出られているのだと思いますし、
それは、すごく良いことだと思います。
それに追加して、もし、お時間があれば、「理解度確認レポート」を提出いただいたり、
つくった質問などを拝見させてください。
また、いつでもご相談ください。
教務部
原